アパレルウェブ ホーム
« 2014年07月18日   |   Main   |  2014年07月23日 »

機械と衣服――村野藤吾

 【本社】9月3日から大阪歴史博物館で特別展「村野藤吾 やわらかな建築とインテリア」が開かれる。
 村野は阪神間モダニズムの時代(1900〜1930年代)から昭和後半まで大阪を拠点に息長く活躍した日本を代表する建築家だ。国宝や登録有形文化財を含む300超の作品を全国に残した。没後30年に当たる今年、展覧会で業績を回顧する。
 出世作は渡辺節の下での修行時代に設計実務を担当した綿業会館。仕事柄、私達もひんぱんに出入りする。ただ残念ながら、独立後の大規模作ほど現存作品は減った。時代に逆らえず、惜しくも建て替えられる作品も多くなっている。その例外の一つが当「繊維ニュース」のダイセン本社の入居する輸出繊維会館だというのは、なんともうれしい事実だ。
 村野建築の特徴は、時代の潮流の正統モダニズムから一定の距離をとり、細部の仕上げにこだわる手仕事・感性重視の姿勢と言われる。同展には彼の手がけた家具や内装、部材も出展。無機質な印象のモダニズム建築をはみ出し、五感に優しく訴えかける「やわらかな」作風の魅力が紹介される。
 村野の作風と対比的に語られる正統モダニズムの直線の美学。その教祖ル・コルビュジエには住宅は「住むための機械である」という“過激”なマニフェストも残る。そのひそみに倣って、対偶に位置し、公共建築やオフィスであっても、過剰なまでに細部の装飾に拘る村野の美学を「衣服としての建築」とでも呼びたい誘惑にかられる。ただ、衣料繊維でも「機能」が云々される昨今から振り返ると、アプローチこそ違え、どちらも建築を“機能させる”ことにとことんこだわる姿勢には相通じるものがあるのではないか。今になってみると、機械と衣服の距離はさほど遠くないようにも思われる。(典)
2014年07月22日(火)  10:00  / この記事のURL