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「小売の輪」の理論

 【中部支局】周知のとおり今月、ファーストリテイリングは、同社の主力業態の「ユニクロ」で今秋冬物から5%程度の値上げを実施すると発表。低価格・高品質で成長してきたユニクロにとっては今回の値上げは初めてとも言う。業界では「脱デフレ」の象徴との声も上がり、原材料価格の高騰や円安でのコスト高に苦闘するアパレル業界もこれで追随しやすくなったともささやかれている。
 しかし、果たしてそうなのだろうか。ユニクロの妹分でもあり、より低価格で訴求している「ジーユー」事業は一切、値上げを発表していない。同事業は今期(8月期)売上高1000億円の大台の突破も確実視されており、今後も積極的に出店を続け、将来的には同事業だけで1兆円を狙うとしている。
 かって、数年前に米国の経営学者マルカム・P・マクネアが提唱した「小売の輪」理論が業界で盛んに言われたときがあった。それは、簡単に要約すると「価格破壊」を仕掛けた革新的な小売業者は、やがて成長するにつれてコスト増から高粗利路線に進み、新たなイノベーターに市場を奪われるというものである。 
 ファーストリテイリングの場合、「ジーユー」でしっかりと低価格でファッション性のあるコモディテイ商品のシェアを拡大していこうとしている。まさにアメリカのウォルマートが拡大してもなお低粗利の路線を突き進み、今でもデイスカンターの地位を保っているのと同様の戦略だ。
 わが国の人口減少が叫ばれるなか、衣料品の国内供給量は41億万枚を突破している。供給業者としては、安易な「脱デフレ」を期待するよりも、自社のコア・コンピタンスを把握し、共生できる取り組み先との強化を努めるべきだ。(聡)
2014年06月24日(火)  10:00  / この記事のURL