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これから珍本になるかも

 【大阪本社】ちょっと話題の著者による本を買ってみた。深井智朗『プロテスタンティズム』。深井智朗氏といえば日本のキリスト教学・ドイツ思想史の研究者として有名であり、東洋英和女学院院長・教授も務めていた。ところが今年、大規模な研究不正が発覚し、東洋英和女学院から懲戒解雇されるなどで新聞をにぎわした。
 研究不正というのはどの国でもちょくちょく起こるのだが、深井氏の不正内容はちょっと例がない。岩波書店から出した『ヴァイマールの聖なる政治的精神―ドイツ・ナショナリズムとプロテスタンティズム』という本の中でドイツの神学者、カール・レーフラーと彼が書いたとされる論文「今日の神学にとってのニーチェ」について4nにわたって論じているのだが、なんとカール・レーフラーなる神学者も論文もまったく架空だった。盗作や盗用といった研究不正は珍しくないが、歴史上の人物と論文をでっちあげるとは驚く。同時に、その想像力に感心すらした。学術書ではなく、それこそウンベルト・エーコのように小説でも書けばよかったのに。
 かくして岩波書店は問題の本を回収・絶版に。そのほかの著書も恐らく重版されることはないだろう。私が購入した『プロテスタンティズム』も、これから珍本になるかもしれない。ちなみに帯にある「読売・吉野作造賞」は、当然ながら取り消されている。(宇)
2019年05月29日(水)  10:00  / この記事のURL

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