セレクトショップ 成長段階別MDのポイント
今回で、ひとまずこのコラムを終了させていただくこととなりました。アーカイブはしばらく、この欄でご覧いただけますし、「商売の原理原則」に関することは、「MDウォッチング」でもお話をしていきますが、今回は、これまでのまとめをお伝えしますね。

「セレクトショップ」という言葉が日本での造語であるように、(大きな意味で)若い中間層をターゲットしながらトップブランドをミックスした品揃え店が、興隆している国は日本だけです。

欧米では、富裕層やファッションマニア、そして観光客に向けた有名「セレクトショップ」はありますが、マーケットの上澄みにすぎません。

アジアでは、最近、日本のセレクトショップをお手本にしたものが増えてきていますが、現状では、まだ感度の高い新富裕層のものです。

日本でセレクトショップがこんなにも興隆した背景には、日本のマーケットの特異性があげられます。「中間層がファッションの担い手」「若者がファッションにお金を使う」といった世界でも特異なマーケットだったにも関わらず、以前の中間層の覇権者であった百貨店が対応できず、その隙間として生まれたセレクトショップが、本来の百貨店マーケットを喰う形で成長したのです。

また、セレクトショップは、儲けにくいビジネスです。仕入れであるため粗利がとれず、インポートやクリエーター系のブランドも取り扱ったりするため、回転率も悪く、SPAなどと比べると交差主義比率が低くなりがちです。
また、百貨店のように派遣スタッフに販売代行をしてもらうわけでもないので、人件費もかかります。そして多くは、都市型業態であるため、不動産費比率も高くなりがちです。

儲けにくいビジネスの中で、日本ではPB開発を進め粗利を高め、SPA的なセレクトショップが興隆しています。

このような背景にある日本のセレクトショップですが、UAやビームスのような大手企業から、インディーズを扱う個性派小型店、そして街の品揃え専門店から業態展開した中堅チェーン店などさまざまな企業形態があります。

最後である今回は、これまでのまとめとして、成長段階別MDのポイントを、お伝えしたいと思います。


企業が重視する指標は、その成長段階によって変わります。「シェア⇒効率⇒粗利⇒非効率」というように、変わっていくのです。

できたばかりの店は、まずは顧客を開拓しなければなりません。その場合、「シェアを高めること」すなわち、「一番になれるマーケットを探し、深耕することです。

世の中で、十分理解されているファッショングループや流行っているスタイルは、わかりやすいですが、すでに強者がいますので、シェアを高めるのは難しいのです。そのため、自店の強みを洗い出し、自店が一番になれるものを、「商圏」「客層」「商品」で探し出し、品揃えの「量」「数」「幅」で一番化させることに注力してください。


そして、ある程度、顧客が増え、売上も拡大すると、仕入れ量が増えていきます。この段階で大事なのは「回転率」です。投資した資金をなるべく早く回収し、次の投資にまわし、「鮮度の高い」品揃えを実現させることが必要なのです。


さらに、成長すると、競合が現れてきます。そこで、競合対策が必要となります。「量」「数」「幅」での差別化は難しくなり、「独自性」を訴求するためのオリジナル化をし、付加価値をあげていかなければなりません。今のマーケットでは、ラベルの乗せ換えや、色指定程度のオリジナルでは通用しなくなってきています。「ぼっている」と言われないよう、付加価値が伝わる、仕様変更、副資材付加など、顧客属性に基づいたこだわりを表現していきましょう。


そして、独自性訴求が上手く行き、店名自体がブランド化できたら、「非効率」への挑戦です。
業界のプレイヤーがなかなか手を出さない、非効率なことをいかにやっていくのかということに取り組んで欲しいのです。例えば、他業種への参入もこれにあたります。

成熟マーケットの先進事例、欧米と日本を比べ、圧倒的に異なるのは、衣以外のファッション化です。インテリア、惣菜、書籍を扱うメルシー、ホテルや画廊、書店、飲食を扱うディエイチコルソコモ、ビューティーサロンやレストランを扱うフレッド・シーガルなど、海外の「セレクトショップ」は他分野の提案が多く見られます。
日本のセレクトショップも、そのような挑戦をしていますが、本業である衣料品販売と比べると、どうしてもレベルが落ちてしまい「素人商売」という段階であることは否めません。日本の企業はどうしても「自分たちでやる」ということに重きを置いてしまうことが、上手くいかない原因のように思えます。「素人商売」で他分野に参入できるほど、日本のマーケットは甘くありません。ビジネスパートナーとジョイント、プロデュース業として取り組みなどの選択肢も含め、ビジネスモデルを構築し、「非効率」に挑戦していくことが必要なのです。

ファッションマーケットの縮小、百貨店チャネルのより一層の委縮、SCチャネル高成長の終了、といった国内市場が厳しい今こそ、日本のセレクトショップの業態進化が、問われているのだと思います。

また、百貨店、コンビニエンスストア、ドラッグストアのように、日本でアレンジされた「日式業態」は、国内だけでなく、世界のマーケットを変化させています。セレクトショップも日本の誇る業態として磨きあげて、世界に羽ばたいてください。

いつか世界の街角で日本のセレクトショップと出会うことを期待し、このコラムを一旦終了させていただきます。

これまで、閲覧いただき、ありがとうございました。 皆さまの益々のご活躍を祈念しております。  

山中 健
2011年08月15日(月)  16:35  / この記事のURL  / コメント(0)  / トラックバック(0)



売り筋販売法 3
前回の続きです。

(3)お客様のメリットとして伝える

前回、価値には「見てわかる価値」と「使ってわかる価値」があるというお話をしました。

お客様にとって、「なるほどなぁ」と納得できるのは、その「使ってわかる価値」が魅力的である時です。

「使ってわかる価値」ですから、使い方が異なれば、価値も異なります。商品はお客様一人一人使い方が違いますから、お客様の「使い方」を知らなければなりません。

そのためのヒアリングが、ニーズヒアリングです。

「お客様が、どのような用途で商品を探しているのか」「普段、お客様は商品を使用(着用)する上で、どのような悩みを抱えているのか」などを、会話の中で聞き取っていくことが必要です。

お客様から出たサインをしっかりと逃さず、キーワードを繰り返しながら、お客様の話しを掘り下げていきながら、イメージを具現化していきます。

売り筋商品を、そのお客様の用途にそった使用価値として伝えていくことが大事なのです。

このように「お客様のメリットとして伝える」ためには、商品の価値だけでなく、いろいろなお客様の用途を知ることが大事です。

接客の中で、聞き取ったお客様の用途をメモするなど、会話から得たヒントを財産としてきましょう。
2011年08月01日(月)  15:16  / この記事のURL  / コメント(0)  / トラックバック(0)



売り筋販売法 2
前回の続きです。

(2)商品の良さを感じよく伝える

ここでのポイントは、「良さ」を「感じよく」伝えることです。

良さとは、すなわち価値です。

商品の価値には、「見てわかる価値」と「使ってわかる価値」があります。

「見てわかる価値」とは、商品のデザイン、カラー、素材感などで、「使ってわかる価値」はシルエット、装着感、着こなしです。

「見てわかる価値」は共感アプローチで、「使ってわかる価値」は試着への導入として有効です。

売り筋商品にどんな価値があるかをピックアップし、セリングポイントして整理しましょう。

そして「感じよく伝える」ためには、ビジュアルで伝えて納得性を高めるのが有効です。

コーディネートなどを口頭で伝えるスタッフが多いのですが、手間を惜しまず、店頭の商品を組み合わせてコーディネートするようにしましょう。

また、コーディネートをする際に、お客様にニーズをヒアリングをし、シーンやライフスタイルと合致したアイテムのピックアップをすることは、言うまでもありませんね。
2011年07月18日(月)  11:41  / この記事のURL  / コメント(0)  / トラックバック(0)



売り筋販売法 その1
さきほど、ある経営者の方にご質問をいただきました。質問内容は「売り筋商品を売り切るには?」というものです。
売り筋商品とは、売れ筋、見せ筋の他、「お店の意思として売っていく商品」のことです。粗利がとれるもの、差別化できるもの、自店のアイコンとして育てたいもの、動きが悪くて消化したいものなど、その背景はまちまちです。
このような売り筋商品を売っていくためには、接客、売場ともに全身全霊で力を注がなければなりません。
このあたりのことを数回に分けてお伝えします。
まずは、接客です。接客の基礎体力をあげるためには、大きく3つのステップが必要です。

(1)商品知識を習得すること
(2)商品の良さを感じよく伝えること
(3)お客様のメリットとして伝えること    です。

(1)商品知識を習得すること

まずは、「自信をもってすすめられる」ように、「自信」をつけなければなりません。「根拠のない自信」にしないために、しっかりと商品知識を身につけましょう。
商品知識は、3つに分けられます。@基本知識(素材、部位の名称、シルエットなど)A応用知識(TPO、コーディネート、ブランド背景、トレンドなど)B社会動向知識(競合情報、商圏情報、業界情報)です。

@の基本知識を向上させるためには、まずは基本用語集や事典などを店に完備し、わからない時はなるべく早くに調べるクセづけをします。最近はネットの有効に使えます。特に、店長などの上位者は部下の前で調べるようにし、「調べることは恥ではない」という雰囲気づくりをすることが必要です。
また、バイヤーや商品企画者による勉強会なども有効的な方法です。


A応用知識
この知識は、スタッフによってバラつきがあります。また、それぞれ得意分野が異なります。なので、幅を広げることが必要です。あるショップでは、月4冊のファッション雑誌を読破することをミッションとして与えていたり、苦手な分野のファッションについては、ファッション雑誌を読んで、感想文を書かせ、上長がフィードバックをしたりするなどの指導をしているところもあります。人というのは、TPOやカラーが偏って生活をしているものです。殻に籠らないよう、幅を広げましょう。


B社会動向知識
この知識は、いわゆる「市価調(市場価格調査)」をすると見えてきます。特定のアイテムを決めて、ブランドや店による価格を調査し、自店の価格の妥当性や、差異点を見出しましょう。まるっきり同じSKUはありませんので、単品(お客様の代替可能範囲内商品群)レベルで調査をすることが大事です。

続く
2011年07月05日(火)  01:19  / この記事のURL  / コメント(0)  / トラックバック(0)



時流の見極め方
時流の見極めにも原理原則があります。私は今、ミラノメンズの取材をしておりますが、コレクションを見ていて一番気になるのは、最先端のトレンドがどうなるかというより、殆どのブランドに広がったトレンドはどんなものかということです。

時流はお客様の変化です。一人の変化が、その属するゾーンや都市、国のファッションの変化へとつながります。最先端のトレンドは、あっという間になくなることも多いですが、それがいつか蘇り大きなトレンドのうねりとなり、時代の空気として昇華していきます。

例えば、今シーズンのトレンドでは、もうナチュラル感、ショートパンツやフリュイドといったものは時代の空気へと昇華しています。

コレクションで、時代の空気まで昇華したものが、リアルトレンドの大きな流れつながります。
その背景には、消費者の生活が変化しているのです。

一方、このような全世界的な時流の変化に対し、ニッチやローカルでの時流の変化もあります。

小売店は、全体的な時流を俯瞰しつつも、ニッチやローカルの時流をしっかりととらえ、その流れの横や先に全体の流れがあるのか、ないのか、そしてそれと交わるのかを見極めることが、時流適応には必要なのです。
2011年06月20日(月)  17:48  / この記事のURL  / コメント(0)  / トラックバック(0)



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プロフィール

山中 健(やまなか たける)
アパレル業界を中心に、百貨店、大手から個店まで、幅広い業態におけるコンサルティングを手掛ける。調査設計から戦略策定、行動計画への落としこみ、そして教育研修にいたるまで、マーチャンダイジングに関してのコンサルティングを得意としている。特に豊富な実務経験と活性化事例に基づく教育研修は説得力があり高い評価を得ている。

山中健 プロフィール
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