商品力の鮮度について
今回は、セレクトショップにおける商品力の鮮度について考えてみます。

商品力の鮮度には、大きく3つあります。

1つめは、物理的な鮮度、2つめは季節性から生じる鮮度、3つめはトレンドから生じる鮮度です。

物理的な鮮度とは、破損・劣化しているか否かです。このあたりは、ファッションにかかわらず、全ての商品に共通していることですので、詳しく説明することもないでしょう。

季節性から生じる鮮度とは、お客様の感じる季節感が影響し、その感じ方は、お客様それぞれです。
ちょっと話はそれますが、食べ物の季節性を表す言葉に「走り・旬・おさめ」があります。

「走り」とは、その季節の出始めのものです。今だったら、秋野菜、ぶどう、などがそうでしょう。まだ十分熟していませんし、価格も高いですが、その商品を味わうことで、季節を先取りするというものです。

「旬」とは、十分熟して、まさに食べ頃を味わうものです。最も需要が大きい時期ですし、価格もだいぶ手頃になります。

「おさめ」とは、すでに旬は過ぎているけど、今を過ぎると、しばらく食べられなくなるので、食するというものです。「フグの食べおさめ」「牡蠣の食べおさめ」というように、季節が比較的限定されている商品で、少々値が張る商品などに使われることが多いですね。


ファッションの世界では、「走り」の考え方が主流でした。しかし、現在の小売の現場では、実需実売傾向が強く、それぞれの販売期間の「旬」を提供しようという考え方が主流です。それによって生み出された業態がSPAですし、日本が得意とする「52週MD」もこの考え方のもと確立されたと言えるでしょう。

しかし、セレクトショップは、仕入れが基本ですから、メーカーの都合に大きく左右されます。インポートだったら、年2回、メンズの国内メーカーだったら4回の投入ということもあります。
その結果、セレクトショップの回転率は遅くなりがちであり、年4回転ぐらいで落ち着くところが多いようです。そこで、日本の大手セレクトショップもSPA的要素を組み入れて対応しています。

しかし、独立型の店舗では、オリジナル商品をつくり、クィックに投入するのは難しいですよね。
なので、独立型店舗は、「走り」を多くつくることをおすすめします。「走り」を好む顧客層に応じたメーカーの、投入回数を多くするよう、メーカーに依頼したり、商材を変えたりして、「走り」を多くつくることです。例えば、年2回投入のメーカーであったら4回に、年5回投入のメーカーだったら6回に、増やすためには、どのようなことができるのかということです。また、洋服だったら年4回の投入だったら、その端境に雑貨などの投入を入れるなどにするということです。

もちろん、これらの取り組みを行うためには、顧客層をしっかりとつかむというのが前提です。

一度、自店の新規投入状況をカレンダーに書き込んでみてください。何も投入されていない時期があったら、そこがチャンスです。何か投入できるものがないかを考えてみましょう。

次回は、「トレンド」の捉え方をお伝えします。

2010年08月23日(月)  11:40  / この記事のURL  / コメント(0)  / トラックバック(0)

商品力の幅について
商品力の幅とは、「上限価格と下限価格」の幅のことです。プライスに関する原理原則や応用についてはこれまでもお伝えしていますね。

そして、ここ1〜2年で、プライスに関する業界の理解もだいぶ進化&深化しています。

原理原則である「お客様には大まかに予算がある」ということも、だいぶ受け入れられてきましたが、今でも「価格を気にしないお客様を相手にしたい」「店頭でお客様は値札をみない」とおっしゃる方がいます。

確かに、店頭で値札を見ないで買い物をするお客様はいます。しかし、それらの方々の多くは、その店が「だいたいいくらぐらいの店を売っているのか」を理解しているから、値札を見ないのであって、価格を買い物の決定要因から外しているのではないのです。

「価格でなく、デザインなどの質だけで、買い物をしてほしい」などというのは、作り手側、売り手側のエゴ以外のなにものでもありません。

だからといって、「お客様の買い物の予算を知って、MDを組む」=「低価格化する」という意味ではありません。市場の常識より、高い価格の商品を求める層は当然いますので、そのような商売をするのであれば、それらのお客様の価値観を見きわめることが大事なのです。

今、多くの消費者は、洋服に対する予算を低くもっています。その中で、自店で設定した価格幅を求めるお客様はどんなお客様なのか、もしくは、自店のお客様のおおよその予算は、「いくらからいくら」なのかを、見極めることが大事なのです。

関連記事:「経営環境とプライスMD」「プライスMDの原理原則1」「プライスMDの原理原則2」「プライスMDの原理原則3」「上が売れる店、下が売れる店」「ポリシーは下限に宿る」「2つコブMDのススメ

※次回の更新は、8月23日(月)とさせていただきます。
2010年08月02日(月)  00:02  / この記事のURL  / コメント(0)  / トラックバック(0)

商品数について
商品数とは、アイテムの数のことです。商品数が多ければ、「品揃えがいい」ということになりますよね。

しかし、小売業は限られたスペースで効率を求めますから、際限なく商品を置くことはできません。
なので、自店の長所である主力商品を中心に、商品を絞り込むことになります。

前の会社「船井総研」では、アイテムパワーというものを学びました。

アイテムパワーの理論では、3と7が大事な数字で、3未満だと「人は少なすぎて選べない」、8以上だと「多すぎて選べない」、なので、アイテム数は3〜7とするのが、基本というものです。

この3〜7というのは、そのアイテムの購買頻度によって異なり、購買頻度が高くなれば、30〜70、300〜700と増えます。

アパレルの、大分類(「カットソー」「シャツ」といったレベル)では、30〜70の間に、アイテム数が収めるとよいようです。この場合、30アイテム未満だと、品揃えが悪く見え、71以上だと、多すぎて見づらい(逆手にとって、圧倒的に多い)ように見えます。

そこで、もし30アイテム未満しか揃えられないようでしたら、それより下位の分類で、7アイテム展開している商品を増やすと、少ないながらも「絞りこみ」された品揃えに見えます。

そして、71以上の場合は、上位分類をつくって、30〜70アイテムのグループを2〜3つ作り、売場展開を分けます。

色の展開は、3〜7色が基本で、2色展開はもの足りなく感じます。その場合は、色での展開の広がりを見せるのは難しいですから、デザインバリエーションによって広がりを見せます。また、8色以上は多すぎて選びにくいのですが、逆に、圧倒的に多いようにも見えます。まず、インパクトを与えるために、8色以上揃えるのはよいですが、その上に、色系列分類をつくって、整理を行うとよいでしょう。

このような、アイテムパワーの視点で現場を見つめ直すと、商品展開や売場展開の課題が見えてきますよ。
2010年07月19日(月)  16:14  / この記事のURL  / コメント(0)  / トラックバック(0)

商品量について
商品力の構成要素で、最も基本的な要素に「量」があります。

商品の量は多い方がいいのでしょうか、少ない方がいいのでしょうか。

経営側の都合から言うと、少なくて回転率が高い方がよいでしょう。しかし、顧客心理としては、商品量は多い方が、購買意欲が高まる傾向にあります。

もし、あなたの店が、非常にブランド力があり、そして顧客に対し在宅時情報を多く提供しているのであれば、少ない在庫で商品を回すことができますが、多くの場合、上手くいきません。また上手くいったとしても長くは続かないのです。

しかし、セレクトショップは、SPAと異なり、商品回転率が低くなりがちです。通常年間4回転、インポート主力だともっと回転は遅くなります(ヤングカジュアルなどは年間8回転などという店もありますが)。

SPAは、商品投入をコントロールしやすいのですが、セレクトショップは、商品投入がメーカー側の都合によるところが多く、メーカーの都合からいうと、投入回数を少なくして1回あたりの納品量を増やした方が効率がよいので、効率が低くなりがちです。

なので、在庫そのものは高効率化する努力が必要です。

しかし、「見える店頭在庫」は多い方がよいです。

例えば、ちょっと、売上が落ち込んだなと思ったら、店頭在庫を増やしてみてください。ストックから商品を出し、陳列を各1枚ずつ増やすだけでも、在庫に賑わいが感じられます。

この際、重要なのは、売場分類を明確にすることです。商品量を増やすと、売場分類が不明確になりがちです。そうすると商品量を増やすことが逆効果になってしまいますので、気をつけてください。

つまり、経営面から「在庫効率アップ」しながらも、顧客視点から「見える店頭在庫アップ」をしていくのが原理原則なのです。
2010年07月05日(月)  18:24  / この記事のURL  / コメント(0)  / トラックバック(0)

暇を味方にする
かつての会社の同僚に興味深い話を聞いた。前回、商品力の構成要素についてお伝えするとしていたが、今回はこの話を紹介したい。


彼は、私が在職していたコンサルティングファームで、小売全般のコンサルタントとして活躍している。

その中で、「粗利ミックス」という話になった。低単価・低粗利の「集客商品」、中単価・中粗利の「定番商品」、高単価・高粗利の「収益商品」、これらをミックスさせるのが、商売の基本であった。

しかし、今は、「集客商品」と「収益商品」のミックスを上手くやっている小売が伸びているとのこと。
かつての定番は、値崩れをし、それらをディスカウントストアで「集客商品」としてたたき売られている。だから、GMSは厳しくなり、郊外のGMSはディスカウントストア業態に変換している。

大手は低価格、ハイイメージという戦略がとれるが、個店がそれに手を出すと、体力を消耗してしまう。町のクスリ店はマツモトキヨシには勝てず、商店街のメガネ店はZOFFには勝てないのである。

そのような個店でも堅調に数字を創っている店舗は、「暇を味方」にし、収益商品を売る努力をしている。収益商品とは、競合が激化していない「こだわり商品」であり「逸品」である。

競合が激化していないという事は、市場への浸透がまだ少ない。すなわち「知られていない商品」である。そのため、その商品の価値や使い方を知ってもらうようなイベントやサービスを、暇な時、すなわち、「閑散期」や「関散時」に行うことで、独自の「収益商品」を創りあげるという作戦である。

薬店のダイエット教室、生花店のフラワーアレンジ教室、コーヒーチェーンのコーヒーの淹れ方教室、食品専門店の試食会・試飲会など。

これらを、繁忙期、繁忙時はできない。暇な時に、力を集中し行うことが、独自商品と顧客の創造につながるのである。

セレクトショップでも、上限商品、陶器や浴衣、革製品、インポート商材、ジュエリーなど、顧客が知らない、また、買い方や使い方がわからない商材を扱っているケースが多い。

セール後に来る「暇」を味方につけて、顧客と共感する時間を創ってみてはいかがだろうか。
2010年06月21日(月)  14:08  / この記事のURL  / コメント(0)  / トラックバック(0)

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プロフィール

山中 健(やまなか たける)
アパレル業界を中心に、百貨店、大手から個店まで、幅広い業態におけるコンサルティングを手掛ける。調査設計から戦略策定、行動計画への落としこみ、そして教育研修にいたるまで、マーチャンダイジングに関してのコンサルティングを得意としている。特に豊富な実務経験と活性化事例に基づく教育研修は説得力があり高い評価を得ている。

山中健 プロフィール
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